鍼灸整骨院勤めだった鍼灸師がパーソナルトレーナーになるまで
こんにちは。SHIN-Fitの新里卓也です。
私は現在、ファーストクラストレーナーズを拠点に、鍼灸師兼パーソナルトレーナーとしてフリーランスで活動しています。
今回は、鍼灸整骨院勤めの鍼灸師だった私が、
パーソナルトレーナーになろうと思った理由、
パーソナルトレーナーになる為に起した行動、
パーソナルトレーナーに実際なってみてどうだったか、
などについて書いていきたいと思います。
簡単な自己紹介
まず、少しだけ自己紹介させて頂きます。
私の出身は沖縄県、大阪市在住の現在35歳です。
生まれたのは沖縄市ですが、6歳~15歳までは伊平屋島という人口1300人くらいの離島で育ちました。
島には高校がないので、中学を卒業すると沖縄県名護市にある高校に3年間通いました。
『出身は沖縄です』
という話をお客様にさせて頂くと、初対面の方でも印象に残ってもらいやすいので得だなといつも思います(^-^;
18歳で高校を卒業し、大阪の鍼灸整骨院に就職しました。
22歳ではり師・きゅう師の国家資格を取得し、職場は移りながらも約4年前の31歳まで『鍼灸整骨院』で正社員として働いていました。
鍼灸師の就職先
鍼灸の専門学校の生徒は、ほとんどが働きながら通っています。
その多くの場合、職場は鍼灸整骨院です。
いわゆる見習い期間ですね。
今では就職先の選択肢も多くなっていますが、私が卒業した13年前は卒業して国家資格を取ると、そのまま働いていた鍼灸整骨院で鍼灸師として働く人が多かったです。
私も多分に漏れず、3年前までは一般的な鍼灸整骨院で働く一般的な鍼灸師でした。
それが今ではトレーニングジムに活動の場を移し、クライアント様にトレーニングの指導やコンディショニング(身体の調子を整える)を提供させていただいております。
活動の場は変わりましたが、
『クライアント様の健康と身体づくりのサポート』
という意味では、やっている事は変わらないと思っています。
その根本の部分は変わらないのですが、なぜ私がパーソナルトレーナーになろうと思ったのか、
それは
『このままで良いのか』
という思いが少しずつ湧いてきたからです。
鍼灸整骨院時代の悩み
はじめは患者様の不調に対して手技や整体をすると、
喜んでくれる
楽になったとの言葉をいただける
それが純粋に自分の喜びでした。
その段階からさらに経験を積み自分の知識レベルや技術が上がると、症例数もどんどん増え、改善できない人が出てくるようになりました。
鍼灸師になった当時、1日に20~30人の患者様を自分が主になって治療させて頂いていました。
その他にも他の先生が鍼灸治療をした後、その患者様に整体や手技もさせて頂いていたのも含めれば、1日に100人近くの患者様と関わらせて頂いていました。
これは僕が治療家として進んでいく中で土台となるような、ものすごい経験をさせて頂いたと思っています。
院長や先輩先生や患者様に厳しく優しく指導を受けた事で成長させて頂きました。
そして鍼灸の国家資格をとったことで更に踏み込んだ症例を見ることも多くなりました。
改善できない人がなぜ痛みや不調を繰り返すのか?
このツボに鍼灸治療すれば肩こりや腰痛が治るわけでもないしと、、、
いろんな書物を読みあさり、セミナーに参加し、
治療技術の研鑽に励むことで様々な診断法や技術が上がっても改善できない人も多く、よく自分に幻滅しました。
もちろん自分の勉強不足や技術の未熟さもありますが、不調の出たときだけ鍼灸整骨院に来て鍼灸や整体を受けに来て、改善したらほったらかしてしまう患者さんが多いのも事実です。
そして根本的な事が改善していないため、また傷めて治療に来るという方々をたくさん診てきました。
そんな中、
患者さんにもっと深く突っ込んでその方の悩みを解決したい
そう思うようになってきました。
そのためには、痛みやコリなどの不調を起こしているだけではダメだと思うようになりました。
その不調が出る原因には何があるのか
ストレス?なのか
運動不足?なのか
不摂生?なのか
人それぞれ体質や抱えている問題が違うのですから、そこを解決できなければ病気になってしまうことさえあります。
根本を解決する為にはどうすれば良いのか
その為に自分が出来る事、足りないものを考え始めました。
養生法から『運動』の重要性について再認識する
鍼灸の世界では『養生法』という言葉があります。
その意味は「心・身体・運動・休養」=「養生」とは生命を養うことです。
もちろん持って生まれた体質という事もありますが、健康を損なう原因の多くが日々の不摂生や精神的なストレスにあります。
良くも悪くも毎日の積み重ねが、私たちの健康状態にそのまま反映していると言えますね。
私たちが養生を実践する上で、重要なポイントがあります。
それは、養生には「十人いれば十通りの方法がある」ということです。
私たちの性格や身体の状態というのは、誰一人として同じではないからです。
高校卒業後、最初にお世話になった鍼灸整骨院はいわゆる『痛いとこ鍼』ではなく、患者様それぞれの身体を診て鍼を打つ場所を決め、養生を指導していました。
そこでの経験が土台となっている私は、もう一度原点に立って養生法について見直すようになります。
私は、健康の成り立ちを「心・身体・運動・休養」という四つの側面からとらえています。
「心」と「身体」は私たちの存在そのものであり、「運動」と「休養」は生きていくうえで欠かせない活動です。
これら四つが私たち自身、そしてその根源である生命力を養っています。まず、「心」と「身体」を縦軸に配置し、「運動」と「休養」を横軸に配置します。
そして「身体」に直結する要素に「食事」が属しています。
縦軸に置かれた「心」と「身体」の関係は、
「心身一如(しんしんいちじょ)」(心と身体は、相互に影響しあう表裏一体の関係)、
また、養生法には「心」と「身体」、「運動」と「休養」という四つの側面に沿ったかたちで
「心養生法」
「食養生法」
「動養生法」
「休養生法」
があります。
これらの養生法をあわせて「生活養生法」と呼びます。
肩こり腰痛に対して行うからずっと思い描いていたことであった身体を鍛えることで肩こり、腰痛になりにくい体を手に入れてほしい。
養生について見直す事で、『運動』の重要性について再認識しました。
現代の生活の中で、どうしても不足している方が多いのが運動です。
これを本格的に学びたいと思いました。
パーソナルトレーナーの資格
パーソナルトレーナーになるには、結論からいって資格が必要な訳ではありません。
ですが、私はまず資格を取る事にしました。
なぜなら単純に勉強したかったから、トレーナー業界の事を知りたかったからです。
トレーナーの資格はたくさんの団体が発行しています。
NESTA
JATI
NATA
その中でも歴史が古く、トレーニング先進国のアメリカ発祥の資格である
NCSA(全米ストレングス&コンディショニング協会)
この中でも大卒でない私が取得できる
NSCA-CPT
の資格を取る事にしました。
選んだ理由は
トレーニングだけでなく、コンディショニングも学べるから
知名度が高いから
団体の規模が大きいから
勉強するならどの資格でも良かったのですが、こんな理由からNSCA-CPTを選びました。
試験までの勉強期間はだいたい3か月くらいだったと思います。
鍼灸整骨院に勤めながら合間を見つけてテキストや資料を読み勉強しました。
最初は分からない言葉が多く、さらに横文字やカタカナが多くて苦労しました。
テキストを読んでは用語を調べ…
その繰り返しです。
そうやって勉強が進んでいくと、今まで臨床の場でやってきた事や知識などがトレーニングと繋がっていきます。
そうなってくると一気に理解が深まって、勉強も楽しいと思うようになりました。
NSCAの試験は自分で試験日と会場を選んで予約するシステムでした。
会場が空いている日時を予約して受けに行きます。
ちょうど4年前の2/14です。
終わるとすぐに結果が分かり、無事に合格となりました。
鍼灸師兼パーソナルトレーナーに
合格してからもしばらく鍼灸整骨院で勤めました。
鍼灸整骨院でも自重トレーニングなど、スペースのいらない簡単な指導なら出来ない事はないです。
けど、やはり治療がメイン。
患者様もトレーニングを求めている訳ではない事が多いです。
『トレーニング』をメインにして関わってみたい。
そう思い、鍼灸整骨院を退職しました。
そしてファーストクラストレーナーズとフリーランスのトレーナーとして契約を結びました。
他にもパーソナルトレーニングジムはたくさんあったのですが、
ネットで『パーソナルトレーニング 大阪』
と調べるとファーストクラストレーナーズは1番上に出てきます。
たくさんのお客様と関われるのではないかと思い、ここに決めました。
それと同時期に知り合いの柔道整復師さんの紹介でホテルのフィットネスでアルバイトを始めました。
パーソナルトレーニングでは最初は顧客がいない状態だったので、時間が空いている時にも経験を積みたかったので両立してました。
この経験もすごく今でも貴重なものになっています。
ホテルのサービスはやはり上質です。
それを身近に体感できた事は大きかったです。
パーソナルトレーナー転向からの行動
2017年9月に
フリーランスのパーソナルトレーナーとホテルフィットネスのアルバイト
として活動を始めました。
パーソナルトレーナーとしての顧客はもちろん0からのスタートです。
最初は先輩トレーナーさんの後ろでオブザーバーとして勉強させてもらいました。
初めて間近でレッスンを見させて頂いて、数えくれないくらいの学びをさせてもらいました。
まさに百聞は一見に如かずでした。
バイトをしながらオブザーバーに入り、体験レッスンの依頼に積極的に手を挙げ、少しずつ任せて頂けるお客様が増えていきました。
2月にはバイトとの掛け持ちが時間的に難しくなり、3月からはパーソナルトレーナー1本でやっていく事になりました。
とにかく動けるだけ動き、5月には1か月の歴代最高レッスン数を記録しました。
2年間で3,000レッスン以上の実績を作り、とにかく経験を積ませてもらいました。
鍼灸師の強み
『こんな勢いでレッスン数が伸びる人見た事ない』
と当時よく言って頂きました。
もちろん色んな事が重なった結果です。
先輩トレーナーさん方、お客様、オーナー、事務局、
たくさんの出会いに恵まれて運が良かったと思います。
でも、『任せられる人物』
でないと仕事がもらえないのも事実です。
自分がパーソナルトレーナーとして即戦力になれたのは、鍼灸師としての経験があったからです。
鍼灸師がトレーナーに転向するにあたり、強みになる事があると思います。
具体的挙げると
カウンセリング(問診)力
医学的知識
トレーニング以外にも選択肢がある
これは他の医療系国家資格の柔道整復師・理学療法士・作業療法士などにも共通する事だと思います。
カウンセリング(問診)力
今までの経験が一番活きていると思った事です。
体験レッスンからの入会率、その後の離脱率
入会率が高い、離脱率が低いという事は、お客様の満足度が高いという事です。
お客様の満足度を上げるのはカウンセリング(問診)力が大きな要因ではないかと思います。
もちろんトレーニング内容は大切ですが、的外れなトレーニングをしていてはお客様は不満に思ってしまいます。
的外れなトレーニングをしない為には、お客様のニーズを的確に受け取り、それに基づいたレッスン内容を決める事が大切だと考えます。
その為にカウンセリング力は大きな強みになります。
鍼灸整骨院などに勤めていると、患者様からたくさんの情報を聞きます。
見習いの頃は治療はできないので、助手として問診をとにかくたくさんしてきました。
問診で得た情報を元に治療者は患者様の状態を知り、治療を行います。
(もちろん問診だけで判断する訳ではないですが)
的外れな治療をする訳にはいかないですから。
日々患者様と接している職業は自然とカウンセリング(問診)力がついていると思います。
医学的知識
解剖学・生理学・運動学・リハビリテーション学など、
基礎的な知識は身に付いているので、トレーニングの現場でも当然役に立ちます。
トレーニング以外にも選択肢がある
『トレーニングの予約入れてるけど、今日は疲れてるからキャンセルしようかな』
そんな事ってよくある事だと思います。
けど、私の担当しているお客様からは、
『今日は疲れてるのでケア多めでお願いします』
と言って頂けます。
腰が痛い 寝違えた 体調が悪い
その辺の見極めができて、メニューもそれを考慮して組むので安心感があり、お客様からもよく喜んで頂けます。
選択肢が多いと、臨機応変に対応する事ができます。
あくまでも資格を持っていないとケアができないという事ではなく、『鍼灸師』という立場がアドバンテージになれるという事です。
あの時の悩みの答え
『治療だけでは根本を解決する事ができない』
あの時感じた悩みです。
パーソナルトレーナーになって、痛みを考慮し、改善に導くトレーニング指導の経験をたくさん積んできました。
あの時悩んで、その結果パーソナルトレーナーになって本当に良かったと思っています。
視野が広くなり、その方の不調を改善する為の選択肢が増えました。
医療系資格を持つ人はパーソナルトレーナーとしてアドバンテージがある
私はそう思います。
鍼灸師という土台があったからこそパーソナルトレーナーとしてなんとかやってこられたのだと考えています。
近頃、鍼灸師や医療系国家資格を持つ方でトレーナーになろうかと考えている方が多いようです。
医療系国家資格を持つ若いトレーナーも入ってきて、活躍している姿を見るとうれしくなります。
もし、トレーナーに転向しようか悩んでいる鍼灸師や柔道整復師などの方々に私の経験が役に立つならと思い、経験談を書かせて頂きました。
長文ここまで読んで頂いてありがとうございました。
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ありがとーございます(^^)